退職願・退職届はネットで手に入るフォーマットを使えば大丈夫?

2019/10/08

退職願・退職届はネットで手に入るフォーマットを使えば大丈夫?-アイキャッチ

退職や転職は意外に多くの人が経験しています。その際に提出する「退職願」や「退職届」は、特に若い年齢層にとっては一大イベントのための重要文書と感じられるかもしれません。しかし、証拠書類として意味を持つケースもありますが、辞めるに至る経緯やその時どういう行動をとったかのほうがはるかに重要です。

「退職願」「退職届」について重要なポイントを解説します。

退職願・退職届はどれぐらいの人が書いているのか

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出典元:123RF

自ら応募して入った会社でも、辞めるという選択があるのが現実です。退職に至る経緯や理由はそれぞれのケースによってさまざまでしょう。

退職願・退職届はどれぐらいの人が書いているのか 新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況-h2
出典元:厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」よりPUTTO作成

上のグラフは、2015年から2017年に大学・高校・中学を卒業して就職した人が1年目から3年目までに離職した割合を示したものです。これを見ると、

  • 1年目で大卒は1割強、高卒は2割弱、中卒は4割前後が離職している。
  • 2年目で中卒から大卒まで1割強が離職している。
  • 3年目で中卒から大卒まで1割弱が離職している。

ということが言えます。

また、リクナビNEXTの会員データによると、30代で半分以上の人が転職を経験、enジャパンのアンケート結果によると、20代で6割30代以上では8割前後の人が転職を経験しているという実態があるようです。

こういったデータを見ると「退職願・退職届」は思ったより多くの人が書いたことがあるもの、ということがわかります。

どんな時にどれを出す?退職願、退職届、辞表

どんな時にどれを出す?退職願、退職届、辞表-h2
出典元:123RF

退職の際に提出する「退職願」「退職届」はあいまいに使われているのが実態です。受け取る側の会社によっても運用の仕方が違っていたりします。どういう場合にどういう書類を出すべきかを解説します。

会社を辞めるときのパターン

退職の意思表示の方法は口頭でも有効であり、 法律の上で「退職願」「退職届」に明確な基準はありません。しかし、退職の時期、退職の理由は退職金や雇用保険などに関わってくる部分でもあるので、 書面で提出しておいたほうがトラブルになった場合の記録になるという効果があります。

退職の意思を表明し、それに対する会社側の同意を求めるのが 「退職願」です。一方「退職届」は労働者側から労働契約解除の申し入れをする場合、または、退職について会社側が同意した後、手続きのための書類として提出するものという区別がなされます。

公務員や雇用契約のない役員などが辞職する場合に「辞表」という名称が使われます。

合意退職

労働者側からの労働契約解除の申し入れを行い、会社側がそれに合意した上で退職するケースです。「退職願」を提出した場合は、会社側に合意退職を求めることになるので、会社側が承諾しなければ労働契約を解除させることができません。

従って、退職交渉がスムーズに行くことが見込める場合や、あらかじめ上司等と相談の上で手続きとして必要なときに「退職願」を提出するという形が取られます。

任意退職

正社員や無期雇用など期間の定めのない労働契約では、労働者側に退職の自由が認められており、退職の14日前までに会社に申し入れることで退職することができます(民法627条)。この場合は会社側の合意を得る必要はないので「退職届」を提出することになります。

任意退職の場合は「退職願」(会社側に退職のお伺いを立てる内容)であった場合には認められないこと、また確実に人事権者に届いていることが要件となるのが重要なポイントです。

会社側の合意なしに辞めることができると言っても、就業規則による退職規定や実務上では人員の補充や引き継ぎなどがあり、労働者側の一方的な都合で「2週間後に退職します。」というのはトラブルの原因になります。

期日が決まっている場合や退職の意思が固い場合でも、就業規則に従い、上司と相談するなどした上で、退職までの一定の期間を見込んで会社のルールに則った退職手続きを踏んでいくことが必要です。

退職のケースのなかで、雇用契約に反する労働条件やパワハラなどの職場環境、会社からの圧力といったトラブルが原因であれば、 「退職届」で 退職の固い意思を伝えた上で退職手続きを行っていきます。

解雇

「退職願」「退職届」は労働者側から労働契約の解除するために必要なものであり、 基本的に解雇の場合の提出は不要です。

解雇された場合に会社側から「退職届」の提出を求められることがあります。用意された規定の退職届にサイン等を指示される場合も同様ですが、「退職届」には「一身上の都合」など自己都合と取られるような記述をしないことです。

助成金の受給資格など会社都合の退職は会社にとってマイナスに働くため、会社側には自己都合退職にしたいというインセンティブが働いています。

「退職届」を提出する場合は、解雇による退職であること、会社都合による退職であることを具体的に記述した上で提出します。

会社都合による退職であることを明確にしておかないと、退職後に会社から発行される離職票の退職理由も自己都合となり、労働者側の雇用保険の受給にも関わってくるので、注意したいところです。

雇い止め

有期労働契約の契約社員や派遣社員について、会社側から契約の更新を打ち切られる「雇い止め」の場合も解雇と同様に「退職届」の提出は不要です。

定年退職

定年退職の場合の「退職届」は会社の就業規則に依存することになります。「退職届」へ記述する内容としては、定年に達する日付と年齢、就業規則により退職することを書く場合が多いようです。

退職願・退職届の書き方

退職願・退職届の書き方-h2
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ネットにはさまざまな「退職願」「退職届」の見本やフォーマットがあげられています。基本的にはどれを使っても大きな問題はないと言えます。しかし、場合によっては、記載する内容に注意が必要なこともあります。

書き方

「退職願」「退職届」を書く場合の要件としては以下の通りです。

  • 冒頭の「退職願」「退職届」表題
  • 「私事」「私議」私事、個人的なことであることの明示
  • 退職理由を書く
  • 「退職願」か「退職届」か
  • 退職日を明示
  • 提出日の明示
  • 会社の正式名称と社長の宛名

気をつけること

「退職願」「退職届」の定型文として、

「このたび、一身上の都合により」

という文言が退職の理由としての決まりごとのようになっていますが、「一身上の都合」は自己都合の場合に当てはまるものであり、会社都合や解雇の場合は「一身上の都合」とすることが不利に働くケースもあることを頭に入れておくべきです。

特にトラブルのなかでの退職や、会社側の対応に不安が残るなかでの退職の場合は提出の前に、信頼できる上司や必要であれば社労士、弁護士などに相談し検討したほうがよいでしょう。

自己都合の場合は「一身上の都合」でこと足り、具体的な理由を書く必要はありません。

「手書き」か「PCで印刷」か

これまでに述べた通り、労働者側からの退職の意思表示、申し入れに法律上の規定はなく口頭でも有効とされています。実際に紛争となった場合でも実態はどうだったのかが重要視されます。言った言わないに備えて、理由や日付を記録するための文書であるため書式等は問われません。

手書きかPCかで考えなければいけないのは、受け取る側が印刷された退職届にどういう印象を抱くかという点です。受け取った上司や人事担当者によっては「手書き=マナー」という考え方をする人もいるかも知れません。

円満退社に向けて準備をしてきて、「退職届」を手書きでなかったことが受け取る側の心象を損ねてしまう可能性も、ほとんどないとは思いますが、全くないとは言えないということです。

「退職届」「退職願」の書き方についての詳しい内容は以下の記事もご覧ください。

円満退職の場合とそうでない場合

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円満退職が理想であることは言うまでもありませんが、すべての退職のケースにそれを望むことができないのも事実です。スムーズに退職できる状況かどうか、できるならば退職日までどういう行動を取るかを慎重に考えるべきです。

円満退職ができる場合

円満退職するためには、職場で関わりのある同僚や上司をはじめとして、人事担当者から経営層に渡って、退職の障害となる要因をつくらないことがポイントになります。

特に職場で直接関わった周辺の人たちには、退職についての理解を得て認めてもらうこと、そして、退職の意思を表明してから退職日まで円満な関係を保てるように配慮しましょう。

円満退職の場合は手続きの一部である「退職届」より、それまでに築いてきた信頼関係を保つことや上司へ退職の意思を伝えるタイミングと理由の伝え方、どうやって納得してもらうかのほうが重要です。退職に対する周囲の理解と賛同が得られれば手続き的な部分はスムーズに行くと考えていいでしょう。

納得の行かないなかでの退職届の提出

不当解雇や雇い止めなど、辞める意思がないなかでの退職や、提示された労働条件や契約内容が実態と全く違っていたり、パワハラ、モラハラなど職場環境が悪いことに見切りをつけて辞めるなど、退職にはさまざまなケースがあります。

トラブルのなかでの退職は、その後の自身の経済状況や職歴にも影響することになるので慎重に進めなければなりません。

まず、手続き以前に問題が深刻な場合は、職場の相談窓口や外部の社労士・弁護士などに相談することが先決です。その上で退職を進めるための手続きとして「退職届」を提出する必要があるか、提出する場合には退職理由や退職するタイミングとしての日付を具体的にしていきます。

辞めさせてくれない場合は

契約期間に定めのある契約社員や派遣社員の場合は、契約期間中の労働契約の解除は契約不履行に当たり、認められるやむを得ない理由がない限り辞めることはできません。労働契約の期間が1年を超えたところで、任意退職ができるようになります(労基法137条)。

上のような契約期間に拘束される場合以外で、退職の意思があるのに辞めさせてくれないのは在職強要にあたります。内容証明郵便で「退職届」を送付するなど法的手段を取ることも方法のひとつです。

退職のマナーや礼儀

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スムーズに退職手続きを進めることができる場合、あるいはそうでない場合であっても、退職する日までの自らの行動は、次の職場やその後の人生にあとを引いていきます。退職の意思表示から退職日までの行動について考えてみます。

退職願・退職届をいつ、どうやって出すか

円満退職ができる場合は、立つ鳥跡を濁さずということわざのとおり、退職する会社のアサインしている業務に対し、自分が抜けることによる影響を最小限にすることを考えます。その上で、退職の意思を表明する機会を、いつ、どのタイミングで作るかということになります。

それ以前に、資格の取得や自分が打ち込んでいるものなど、退職につながるような個人的な実績をそれとなく周囲の人に知ってもらう根回しができていれば、退職の意思表示に対して理解を得やすくなります。

退職の意思を「退職願」の書面で伝えるか、口頭で伝えるかは状況によりますが、信頼できる上司に対して相談するという流れが一般的です。その上で「退職願」「退職届」をいつまでに誰に提出するかの指示を仰ぐのがスムーズな退職につながります。

どんな形であれ在職中はさまざまな関わりのなかで、いろいろな人にお世話になっているはずです。接点のあった人たちに対して感謝の気持ちを態度に表すのが退職するまでの礼儀だと思います。

退職する時の行動はその後の人生にも影響する

退職の実態としてすべてがスムーズに行くものばかりでないことは言うまでもありません。会社側に問題がある場合も少なくないことは事実です。そのようなケースでは労働者としての権利を主張して戦わなければならない場面も出てきます。そうすべきかどうかは冷静な判断が求められます。

円満退社することができれば、退職後もかつての上司や同僚が人脈として生きてくる可能性もあります。転職しても継続する人間関係を築いていれば、仕事や人生そのものにも一層厚みが出てくるのではないでしょうか。

円満退職についてはこちらの記事もご覧ください。

この記事の情報は2019/10/07時点のものです。

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